思春期が早まる早熟化が低身長に拍車をかけている?

子供の思春期が早まることで起こる早熟化が、子供の低身長に拍車をかけている状況だということを知っていますか。
実際に思春期が始まる年齢がどのように推移しているのか、具体的な推移状況を紹介しながら、最近の子供の思春期がどんな状況なのかを解説します。
子供の早熟化の背景に隠れている原因を知ることで、少しでも身長を伸ばす期間を増やして、低身長で伸び悩んでしまう現状を打破しませんか。
目次
思春期の時期の推移状況からわかる早熟化の現状は?
思春期が始まる年齢で起こっている身体の変化といえば、性ホルモンが分泌されてある一定量に達したということです。
思春期の身体的な変化が起こり始めると、大人の身体になって身長の伸びが止まってしまう限界が見え始めており、2〜3年も経過すると身長の伸びも止まってしまいます。
現在の思春期が始まる年齢が男子が11.6歳、女子が9.9歳だと言われていますので、女子の方が相対的に身長スパート期が早くあっという間に身長の伸びが止まってしまいます。
さらに女子の初潮年齢は12.24歳で、一般的に初潮や生理が始まると5〜6cmしか身長が伸びないと言われていますので、ここも覚えておきたいポイント。
実際に思春期が早まり早熟化が進行しているのかを知るために、女子の初潮年齢を時代別に比較してみると・・・
- 1900〜1930年:15〜16歳
- 1930〜1950年:13歳
- 1960年代:12.5歳
- 現在:12.24歳
わずか100年足らずの期間で2〜3年も思春期が早まり、早熟化傾向に拍車がかかっていることがわかったと思います。
これが現在の子供に低身長が増えていたり、日本人の平均身長の伸びが止まったと言われる原因のひとつ。
でもなぜここまで急激に思春期が早まる早熟化が進んでいるのでしょうか?
急激な早熟化が起こっている原因や社会的背景は?
日本人の早熟化がここまで進んだ原因のひとつは、間違いなく幼少期から続く慢性的な睡眠不足が原因でしょう。
睡眠不足になるのは、大人も子供も忙しい日々を送っていることや、大人の生活リズムに合わせて生活する子供が増えているから。
スマホやタブレットがあれば、子供の見たい動画やSNSにいつでもアクセスすることができ、それが楽しいと夜更かししてしまうきっかけにもなるでしょう。
夕ご飯も父親の帰宅を待ってから食べる場合なども、間違いなく寝る時間が遅くなってしまいますよね?
思春期までに慢性的な寝不足が続くと、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌量が抑制され、性成熟がどんどん進行するきっかけになります。
睡眠ホルモンのメラトニンの分泌量が減少すれば、睡眠習慣も乱れてしまい成長ホルモンの分泌量が減少しますし、メラトニンの持つ性腺抑制作用も効果的に作用しなくなるでしょう。
その結果、身長の伸びよりも性成熟の速度が速まり心身の成長にアンバランスが生じてしまい、精神的に苦しむきっかけになることも。
もうひとつ重要なことは、肥満や生活習慣病に悩む子供が増えていること。
脂肪分や塩分の多い食事やスナック菓子ばかりを食べることで、肥満体型に悩む子供が増え、小児期メタボリックシンドロームの診察基準まで制定されるほど。
肥満体型の子供は標準体型の子供よりも、成長ホルモンの分泌量が低下しますし、性ホルモンの分泌量が増加して早熟化が進行し、低身長の傾向が強まることがわかっています。
小児期メタボリックシンドロームを改善するためには、夕食時間を早め睡眠時間を増やすことなど、根本的な生活習慣を改善する必要がありますので、意識的に完全してください。
小児期メタボリックシンドロームの診断基準は?
お子様には関係ないかもしれませんが、小児期メタボリックシンドロームの診断基準を簡単い紹介しておくと・・・
必須項目として、
ウエスト周囲径は、中学生が80cm以上で小学生は75cm以上か、ウエスト周囲径(cm)÷身長(cm)=0.5以上
選択項目として、(2項目以上)
トリグリセライド(中性脂肪):120mg/dl 以上かつ/ またはHDLコレステロール:40mg/dl 未満
収縮期(最大)血圧125mmHg 以上かつ/ または拡張期(最小)血圧:70mmHG 以上
空腹時血糖値:100mg/dl 以上
もしこの条件に当てはまるのならば、早めにメタボリックシンドローム状態を改善しないと、将来的な糖尿病や心疾患などのリスクが高まりますので、注意してください。
肥満体型が子供の早熟化を促進する理由とは?
肥満体型の子供の成長を見ていると、幼稚園から小学校低学年や中学年くらいまでは身長が高い傾向がありますが、その後に伸び悩み、小学校高学年や中学生ではほとんど伸びずに背が低くなる傾向があります。
肥満体型の子供は標準体型の子供よりも、
成長ホルモンの分泌量が低下し、早熟化が進行して低身長の傾向が強まることがわかっているという話をしましたが、もう少し細かく解説すると・・・
思春期の到来時期を決めるのが性ホルモンの分泌量ですが、肥満体型の子供に多い脂肪細胞が体内最大の性ホルモンの受容体なんです。
わかりやすく説明すると、太っている子供ほど性ホルモンが大量に分泌されてしまうことで、成長スピードが早まるということ。
肥満は早熟化を進行させてしまう要素のひとつと考えることができ、身長を伸ばしたいなら肥満体型を改善する必要があります。
実際の統計データに照らし合わせて紹介すると・・・
肥満体型の女子は成長スパート期が早く訪れる傾向が強い!
肥満体型の女子の成長スパート期は、
標準体型の子供と比較すると1年近く早いことが確認されており、思春期における身長増加率も全国平均よりも低くなることがわかっています。
全国平均で8.3cm伸びる時期に肥満体型の子供の平均身長の伸びは6.7cmと低く、平均身長のデータでみても、小学校1年生と中学3年生を比較すると顕著に。
小学校1年生ではプラス0.6SDの115cmで平均よりも高身長ですが、中学3年生ではマイナス0.1SDで155.1cmになり、平均よりも低身長になってしまいます。
思春期が1年遅くなれば5〜6cmは身長が伸びますが、肥満体型の子供の場合はその逆のことが起こっており、身長を伸ばすことができる期間が短くなることで低身長になってしまうということ。
思春期や成長期の時期は、体型を含む生活習慣によって多少変化させることができますので、早熟型よりも晩成型の子供に育てることで身長を伸ばすことができる期間を増やしてあげるべきでしょう。
思春期が早まる早熟化が低身長の原因の記事まとめ
この記事では最近の子供の早熟化がどのようになっているのかを、女子の初潮年齢の年代別推移から解説しました。
元々早熟傾向が強い日本人ですが、ここ最近の早熟化の進行度合いは驚かされませんでしたか?
早熟化が進むことは、それだけ身長を伸ばすことができる期間が短くなることで、子供が将来的に低身長で悩む原因のひとつ。
思春期や成長期における睡眠不足は、成長ホルモンとメラトニンのバランスも乱して、さらに低身長の傾向を強めてしまいますので、本当に気をつけてあげてくださいね。